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The Art Notes to the Swan of Tuonela トゥオネラの白鳥に捧ぐ鑑賞ノート
死の國トゥオネラには 黒い水が流れる川がめぐり その水辺を白鳥が 荘厳にゆっくりと進んでいる
DATE: 2006/11/15(水)   CATEGORY: 絵画・美術鑑賞
山下陽子銅版画展《花と果実の紋章》
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《花と果実の紋章》展DM



2006.11.10(金) ~ 21(火) 13:30 - 19:30
*11.15(水)は休廊/最終日のみ18:30まで
啓祐堂ギャラリー



香り立つ作品群……

人知れず 森奥に眠り続け いまだ紐解かれていないような

永遠に 妖精たちに守られ 人が触れた途端 消えてしまうような

一篇の物語。

その美しさ・儚さに

溜息ばかりがこぼれました・・・


〈同時刊行〉

『BLASON DES FLEURS ET DES FRUITS ―花と果実の紋章―』
ポール・エリュアール詩・佐藤巌訳・山下陽子銅版画

A5判・28頁・糸綴・銅版画6点・活字組版印刷・
原文冊子付・特性夫婦函・限定30部 三万八千円



静謐の中に香気がこもるこの書物を一冊予約してまいりました。

銅版画はもちろんですが

コンパクト・オブジェも震えるほど素敵です。



この度 山下陽子さんにはじめてお会いし

御作そのままの静謐と香気とをたたえた美しい佇まいに

こころの中で あふれんばかりの賛美を捧げました・・・

初冬の季節がよく似合う 白磁の肌が印象的でした



啓祐堂さんでも《刺繍刑》を発売しています
おついでにぜひどうぞ……







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DATE: 2006/11/12(日)   CATEGORY: 絵画・美術鑑賞
《屋根裏の図書室》展
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《屋根裏の図書室》展DM



アートブックショップで開催された
《屋根裏の図書室》展へ行ってまいりました
タイトルがまず ぞくぞくする程 好みです

お目当ては 孔雀洞雑貨舗さん
繊細な万華鏡や豆本が 愛らしく陳列されていました

孔雀洞雑貨舗さんの幻想の詰まった豆本と
龍骨堂さんのノスタルジックなトンボ玉を
購入してきました

刺繍の古本もついでに購入して 外はちょうどよい夕暮れ……

都内で一等好きなホテル《山の上ホテル》のコーヒーパーラーにて夕食後
お正月休み恒例のモーツァルトのお部屋を予約して

嗚呼 とっても素敵な一日でした



DATE: 2006/02/18(土)   CATEGORY: 絵画・美術鑑賞
《ヒカリ ノ キオク》展
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《孔雀洞雑貨舗》液式万華鏡

会場:国分寺 cafe.bar.gallery Roof
期間:2006/02/13 (Mon) ~ 02/28 (Tue)
時間:12:00 ~ 24:00 水定休



白い壁際に置かれた万華鏡 標本箱 豆本類……

掌からひろがる宇宙や夢を約束してくれるのは

工作少年的鉱物感覚と少女の繊細を併せ持つ

《孔雀洞雑貨舗》さんの品々

ブルーのグラデーション美しい液式万華鏡を購入(上写真・当寄宿舎居間にて)

幾何学的遊戯の透徹と儚さに心奪われるひとときです



お茶やお食事とともに いっときの遊戯はいかがですか・・・?

→《孔雀洞雑貨舗》

DATE: 2006/02/18(土)   CATEGORY: 絵画・美術鑑賞
岡本太郎記念館
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《傷ましき腕》

「……夢幻に浮遊していたリボンが、突然、結ばれた。そして、傷ついた腕が、現実に耐えて拳を握りしめたのだ。これは純粋抽象との告別であった。『傷ましき腕』、この凝結はそれなりにひとつの完成を示した。だが、それでも、わたしの心の中の傷口、矛盾はいやされなかった。ますます傷口は裂けた。 ……岡本太郎」



『ちいさいおうち』状態のかわゆらしい邸の庭には、《坐ることを拒否する椅子》をはじめ、ヌーとかムーとかピロピロとか妙な音がしそうな諸々でいっぱい。室内に入ると《縄文人》がどーんとお出迎え。ちゃんと足がある・・・
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《縄文人》

アトリエやサロンの空気がそのまんま残っていた。彫刻も鐘も絵画も植木鉢も著作も渾然となって、明朗に語りかけてくる威力はす、すごい。それにしても、〈健康〉とか〈交通安全〉とか書かれた絵馬。どーみても縁起悪そうなところが楽しいです。

結論:太郎は生きている。



併設の喫茶店ではきっと、縄文人パフェとか、河童クッキーとか、飲むことを拒否する紅茶とかが頂けるだろうと思っていたのだが、残念ながら普通のカフェだった。美味しかったですけれども・・・

→岡本太郎記念館



「夜――孤独を身に噛みしめながら、とき放たれ、自分を超えたイマジネーションが八方に走るのだ。黒々とした闇のなかに、忽然と、身体中から触角がのびはじめる。無限に向かって。その一つ一つに眼が光っている。空高く、星は清らかだ。そのまたたきと己の息づかいがこたえあう。この無限に透明な世界は、それ故に混沌なのだ。   ……岡本太郎」


引用文は全て、『岡本太郎 歓喜』二玄社刊より





DATE: 2006/02/07(火)   CATEGORY: 絵画・美術鑑賞
《書の至宝》展
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2006.2.7(~2月19日まで)




近所の永青文庫が所蔵する黄庭堅の《伏波神祠詩巻》。
今度こそ、と思って胸躍らせて赴いたのだが・・・
ええっ! 
入れ替えがあるなんて・・・ 

またもや、見られなかった……ついでに、
《九成宮醴泉銘》も消え去っていたのだ。



平日だというのに、人が異様に多い。

人だかりの王義之をすっとばして、まずは米ふつ。
震えます。

次は《升色紙》。
う、美しすぎます。

祝允明の《草書赤壁賦巻》。
点だけの「下江流」にやっと対面できた。

明・清の行書を見て、最後にす、すばらしすぎる作品が! 
良寛の《詩書屏風》・・・ここだけ、吹く風が違っていた。

閉館間際に王義之に戻ったら空いている。
黄庭堅やちょ遂良とともに、時間の許す限り、想いを馳せた。



国宝 個人蔵 っていうのがあった……す、すごいですね。



甲骨文字とか、
残ってるのーーーーー?という無条件の存在感。



しかし、平成館。

数百年後、博物館敷地内の建物がそのまま残っていたとしたら
おそらく、
未来人はこう呟くに違いないわ!

「平成っていう時代は、散々な美意識の時代だったんだね」


→《書の至宝》展

DATE: 2005/10/20(木)   CATEGORY: 絵画・美術鑑賞
《ギュスターヴ・モロー展》
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雑踏と喧噪の殺伐

を通り抜けなければ体験できない絵画鑑賞……

それを嘆くことは 無意味なこと 

なのかしらん

夜の宝石を想像の中に巡らし

現実の風景に目をつぶる 割り切る 

しかないのかな 嗚呼……



「自分の内的感情以外に

私にとって永遠かつ絶対と思われるものはない」

画家は言ったけれども

美意識の過酷

の中でこそ孤高に生きる言葉 

じゃないかしら・・・

この喧噪の中でそう思い込むには 

寂しすぎるほどの街の光景



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《出現》のためのモデルを使った習作(部分)

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《ヘロデの前で踊るサロメ》のための習作(部分)

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《ヘロデの前で踊るサロメ》のための習作(部分)


習作の多い展覧会は好き

サロメのポアントをいくつも発見

バレエの基本であるポアントはやはり

飛翔と深淵とのあわいに 

妖しくふれているものなのだわ




DATE: 2005/07/18(月)   CATEGORY: 絵画・美術鑑賞
500年の大系《植物画世界の至宝展》
2005.7.18 東京藝術大学大学美術館





美しき植物図譜が眠る園……美術館の殺風景にそんな雰囲気はないけれど、そう思い込んでの鑑賞。

澁澤龍彦著『フローラ逍遙』(1987年)の表紙を飾った、《ツバキ(一重咲)》の手彩色原画を拝見できたのが嬉しかった。これは1819年、クララ・マリア・ホープが、サミュエル・カーティスによる『ツバキ属の研究』のために制作したもの。



『フローラ逍遙』を購入した頃を思い出す……当時親しかった女友達が風邪をひき、急なことで特別なものが用意できず、書棚にあったこの本をお見舞いに持参した。その後書棚には充填されず、つい最近、文庫版を購入。図譜を前に、その間の空白を埋めるように、彼女は今どうしているかしら……と。

菫色の見返しが美しいカタログは、ページ内の罫の扱いが少々うるさいように感じましたが、全体的にとても良いデザインでした。図譜のカラフルに対して単色扱いの章扉、コラムページのペビーピンクの地色もしゃれています。レイアウトも硬派で、内容も充実。デザイナーの方のクレジットがみあたりませんでしたが……。


DATE: 2005/05/27(金)   CATEGORY: 絵画・美術鑑賞
《ベルギー象徴派展》
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2005.5.27


記憶の中の死都……





ひとけのない雰囲気、ひとがいてもひとけを感じさせない空気感が好きです。ひとの痕跡やひとが去った後の情緒をうっすらと留めた雰囲気、とでも言うのかしら……モノや建物や風景がそれらを封鎖し封印して、静かにゆっくり時間をかけて空気の肌理を熟成してゆく・・・記憶の中の風景はいつもそんな調子。



鍵穴から、記憶の中の風景をそっと覗いたような密室感……この孤独者の幻影を愛して止みません(そのような短歌や童話や書物をつくりたい、といつも思っています……)。例えば、白の時代のユトリロの風景画。白く塗り込められた建物並ぶ街角はいつもひっそりと。我が寄宿舎の応接間を飾る彼の小さな版画《ベルリオーズの家》も、こっそりと音もなく、しかしそこはかとない抒情が熟成して……





幻想と夢の散歩者《ベルギー象徴派展》に行って参りました。そ・こ・で、思いがけず、素晴しい絵画を目のアタリにしたのです!!! 

フェルナン・クノップフ。それも、クノップフといえばこれ、のクノップフではござりませぬ。死都ブリュージュをモノトーンで描いた風景画……わたくしはこの絵画群を前に、強い酩酊感をくらって、ただただ呆然と立ちつくすしか術を知りませんでした。

クノップフの描いた遙か異国の死都の風景は、わたくしの幼少期の記憶に眠る、一軒の廃屋となった洋館そのものだったのでございます。鬱蒼とした森の入口に建っていたそれは、幼きもののこころを恐れや憧れや畏怖や好奇心でいっぱいに満たし、孤独のうちに幕を閉じた悲恋に近しい幻影を、その風景はひっそりと耳打ちしてきたものです。

……このような一撃の中の一撃には、美麗を尽くした賛美の言葉をあびせまくっても到底足りません。この絵画の中に、どうしたら住めるのだろうか・・・と、不毛な尋問を自らに課しました。

ひとりで良かった。死都ブリュージュは孤独者がよく似合う。今後、我が寄宿舎の方針は、《死都ブリュージュ》でいく。ご丁寧にもショップでは復刊されたローデンバック作『死都ブリュージュ』が陳列され、岩波文庫のその表紙にはこう綴られていた……


沈黙と憂愁にとざされ、教会の鐘の音が悲しみの霧となって降りそそぐ灰色の都ブリュージュ。愛する妻をうしなって悲嘆に沈むユーグ・ヴィアーヌがそこで出会ったのは、亡き褄に瓜二つの女ジャーヌだった。世紀末のほの暗い夢のうちに生きたベルギーの詩人・小説家ローデンバック(1855-98)が、限りない哀惜をこめて描く黄昏の世界




DATE: 2005/05/26(木)   CATEGORY: 絵画・美術鑑賞
《ラ・トゥール》と《アール・デコ》
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ジョルジュ・ド・ラ・トゥール《聖ヨセフの夢》

2005.5.26




国立西洋美術館『ラ・トゥール展』へ。約40点ほどしか真作が存在しないので、同一作品の真作と模作、同一作品の二つの模作などが並列に展示されているのが興味深く、ラ・トゥールを基点に、制作に打ち込む当時の空気に思いを馳せる効果を生んでいた。

《荒野の洗礼者聖ヨハネ》……聖ヨハネの肌を柔らかく包み込む光源のない灯りが、荒野の孤独そのものであるような趣き。孤独が深まるほどに、穏やかさは満ちて。《聖ヨセフの夢》……灯りが、衣服の繊維や書物の一頁に柔らかく染みこんだ瞬間を留める傑作。《書物のあるマグダラのマリア》……モダーンな筆致。

ジンガロ《ルンタ》の、赤土を柔らかく照り返す陰影の効いた風景を思い出す。ジンガロの原点は、やはりこのあたりにあるような気がする。あの一瞬、記憶の中のジンガロの断片は、無音を極めるほどの静けさに満ちた闇の世界に満ちつつある、仄明かりの予感。そこに時折舞う土埃=異国の風が吹き抜けていることが、ジンガロの現代性かしらん? 



精養軒のテラスで午餐。



東京都美術館の『アール・デコ展』へ。嗚呼……大好きな時代です。ここへきて、〈マリー・ローランサンにピンとくる事件〉発生。殊に物憂いの《読書する女》が素晴しい!!やはり絵画も文学も映画も舞台も出会いですよね。今まで眼中なかったのに、ある時期に何の前ぶれもなく一撃がきます。こんなにこんなに良かったかしら?彼女。彼女の繊細の意味を誤解していました。この、リアルな繊細を御伽話でも語るように夢見心地にさらさら描く度量はなんなんでしょうか、、、

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マリー・ローランサン《読書する女》



このような陽気の日はカンカン帽で外出。足穂少年の《空間の虹色のひづみ》に登場する西田君は言います。

「それ(カンカン帽子)をかむっている人と、頭の上に載っけられているカンカン帽の内側には、三角の断面を持った鉢巻状の空間が取り残されている――そこを、いったいどうしてくれるのだ? こう考えると、町でカンカン帽をかむっている人を見ると、ステッキの先か棒キレのようなもので、カンカン帽のふちをカンカンと叩いて、〈ここは一たい何だ?〉〈この内部に存する円環状の空っぽをどうして充填しないのか?〉と注意してやりたくなる」

西田君はカンカン帽愛用者の大切な任務として、その環状の空虚を新聞紙などで詰めることをあげている。よし、今度からそのロヴァチェフスキー的三角を充填してみるか。



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