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The Art Notes to the Swan of Tuonela トゥオネラの白鳥に捧ぐ鑑賞ノート
死の國トゥオネラには 黒い水が流れる川がめぐり その水辺を白鳥が 荘厳にゆっくりと進んでいる
DATE: 2008/11/06(木)   CATEGORY: 女装奇譚
Miss? Moppet
Poter M
つぶろぐにて綴っていました猫のモペットをモデルに
指人形をつくってみました


→こちらをどうぞ
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DATE: 2007/08/01(水)   CATEGORY: 女装奇譚
DVD《サイン・シャネル》
カール・ラガーフェルドは、大好きなデザイナーのひとり。

DVD《サイン・シャネル》は、
カールのスケッチにはじまってアトリエの内部までカメラが入り、
お針子さんたちの作業風景から昔気質のガロン職人のおばあちゃままで、
貴重なシャネルの物作りの現場を堪能できます!

カール・ラガーフェルドと愉快な仲間たち、というノリで、
ユーモアたっぷりに番組が仕上がっているところが、さらに魅力的。

ダヌンツィオのごとく高いカラーに顎をのせ、
夏の嵐か猛獣のように、「カールがやってくる!」(登場の音楽つき)

何度、爆笑したことか! そして、感動も!
見ていると、こころの底から幸せな気持ちになります。

ひと針ひと針、丁寧な物作りって、本当にステキ。
そして、天才を天才のまま存在させることができるお土地柄って、
壮絶なまでにスバラシイわ!









DATE: 2007/05/07(月)   CATEGORY: 女装奇譚
ビリチスの歌
Biri.jpg

なんにも語り合うことのないほど ふたりは気が合って、寄り添っている。
けれども ふたりの歌だけは、互(かたみ)に応えようとして、
かわるがわるにふたりの口は、蘆笛の上で 一つになる
   ……「笛」
    (『ビリチスの歌』ピエール・ルイス作/鈴木信太郎訳)より抜粋



初夏の匂い漂う昼下がり……
当寄宿舎に素敵なお客様をお迎えいたしました。

清楚な佇まいの陰に、かわゆらしい魔性を覗かせるF嬢と、
黒の似合う、耽美な感性とご容貌を持つR嬢のお二人です。
いつになく、レスボス島に住まっていたころのことを思い出して、
年甲斐もなく、乙女な気分を満喫したひとときでございました。
お二人に、こころから感謝を申し上げたいと存じます。

マギー・テイトの歌うドビュッシー作曲「ビリチスの歌」も
しとやかに、気高く、こころに響きましたわ!
コルトーのやわらかで聡明なピアノ伴奏も、
レスボス島の住人に、優しく語りかけてくださいました・・・


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あの人は妾(わたし)に言った。『ゆうべ私(わたし)は夢を見た。
お前の髪を 私は頸(くび)に巻いていた。頸筋のまわりと胸に、
お前の髪を 黒色の頸環のように 巻いていた。
   ……「髪」
    (『ビリチスの歌』ピエール・ルイス作/鈴木信太郎訳)より抜粋



実は、F嬢とお会いするのは二回目、
R嬢とお会いするのは初めてでございました。
ひとえにお二人のお人柄ゆえ、すぐにすっかり打ちとけ合って、
あっという間に時間は過ぎてゆきました。

わたくしはお二人よりもかなり年上ですので、
朽ち果てた洋館に住まうミス・ハヴィシャムのような麗しさで
おもてなししたかったのですが!
嗚呼、ミス・ハヴィシャムとの共通点は孤独という一点のみ、
現実を直視せず、
理想の設定を行う無謀にむせび泣いたことを告白したいと思います。



二十代のころに着ていた大正時代の着物を、
お二人にもらって頂きました。
秋を想う百合の夏着物、紫が粋な単衣のお召、構成主義チックな赤の袷、
絞りの長羽織、とぼけた筆致の蝶々の帯、などなど・・・
『細雪』気分で、お部屋をお花畑のように着物でいっぱいにして、
着せ替え大会を楽しみました。

その昔、見知らぬご婦人が大切にしていた美しい着物・・・それを
縁あって受け継ぐことができ、そしてまた、F嬢とR嬢のお二人へと。
美しきモノがつなぐご縁を思うにつけ、
所有という行為が持つ本当の気高さに、静かな感動を覚えます。


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氷(こおり)の花に蔽(おお)われた 森沿いを 歩いて行った。
口のあたりに髪が垂れ、小さな氷片(こおり)を 花と咲かせた。
サンダルは 泥まじりの雪で 重かった。
   ……「ナイヤアドの墓」
    (『ビリチスの歌』ピエール・ルイス作/鈴木信太郎訳)より抜粋



たとえ趣味嗜好が一緒でも、打ちとけ合うことが難しい場合もあります。
「美」というものが、その人にとって、どのような意味を持つのか・・・
自意識を満足させるための手段なのか、
他人をねじ伏せるための材料なのか・・・
「美」の扱いに、その方の気質があらわれ出るような気がいたします。

わたくしは、「美」を賛美することが趣味なので、
「美」にひれ伏すことに従順な方々をこころから尊敬しています。
そのような方々の存在そのものが美だわ!と、賛美気質に火が付きます。



嗚呼、美を賛美することって、本当に楽しいわ!
素敵な一日をありがとうございました。

DATE: 2006/11/08(水)   CATEGORY: 女装奇譚
《深まる秋のきもの展》
先月、銀座・志ま亀さん
《深まる秋のきもの展》へ行ってまいりました。

美しい秋の新作に加えて、
京都・矢代仁さんの御召の復刻品が展示されていました。
昭和5年の御柄を復刻した風通お召は、
薄紅と抹茶色のとてもモダンな格子柄……当時、
いったいどんな方がお召しになっていたのかしら・・・

風通お召

経糸・緯糸とも表裏で異なった色糸を使い、
風通織りという特殊な二重組織で織ったお召
表と裏の文様が反対の配色になるので袋状に見え、
その中を風が通るという意味で風通という。
上品な中柄や小柄が多いので、観劇やお呼ばれに。
             ……矢代仁さんのリーフレットより抜粋



以前、矢代仁さんの生地で雨ゴートを作りました。
葡萄色の変わり水玉は、雨下駄が紡ぐ音粒のよう・・・
雨の日が待ち遠しくなるような、大人っぽくも愛らしいお品です。

お召は、大正時代のアンティークを幾枚か持っていますが、
(そのほとんどが単衣仕立てなんです。
当時は単衣で着ることが多かったのかしら・・・?)
独特のしぼと張りのある風合いが、
粋な縞模様を、やさしく温かい雰囲気にしてくれます。



志ま亀さんのお色目美しいお品を拝見していましたら・・・
お店の奥に、はっと目を引く美しい帯が!
黒の塩瀬で、源氏貝に敷松葉の可憐な御柄・・・手描きの染め帯です。

ずっと前、志ま亀さんでむじな菊の付下げを誂えた際、
それに合う黒い帯を探したのですが、なかなか気に入った柄がなく、
そのままになっていた空白の場所に、

嗚呼、この帯こそは、あのお着物にピッタリだわ!

と。


20061108010941.jpg
志ま亀さんのむじな菊の付下げ
宝づくし・海老茶の塩瀬の帯とともに……
黒い帯の方が、やはりきりりとしそうです



見るだけ、と出かけたのですが、麗しきモノとの運命的な出会いは
避けることはできませぬ。というわけで、購入を決めました。
仕立て上がりが楽しみです。



志ま亀さんの黒・・・

触れるもの全てを引き立たせるような、
品格がありつつ強すぎない、優しさを持ち合わせたお色です。


DATE: 2006/05/08(月)   CATEGORY: 女装奇譚
シビラ
先日、伊勢丹新宿店本館のブティック《シビラ》を久しぶりに訪れました。



……その昔、伊勢丹新宿店の2階にひっそりとオープンした《シビラ》。その色遣いやデザインのかわゆらしさを初めて目にした時、どんなに心がときめいたことでしょう! 大人だけに許された、モダーンな御伽話の扉むこうを、羨望の眼差しでながめたものです。

その後、イトキンのライセンスになってからは、その独自路線はデザイン・お色目・縫製までもが下降線・・・お値段も劇的に下降したのは嬉しいことかもしれませんが。

しかし、なんといっても《シビラ》はサイズがタイト。おそらく、背の高い、かなり細身の人が着てピッタリなのだと思います。小柄ゆえ、女装既製品の普段着探しにおいて困難を極めていた者にとっては、袖丈や着丈をお直しするだけで済むので、長らく嬉しい存在でした(途中、サイズが大きめになってきてしまいましたが)。



久しぶりに訪れたその《シビラ》ですが・・・ふと手にしたワンピースやジャケットが、まるで古き良き時代の《シビラ》を想起させるお色目・素材・デザインだったのです。その美しさに震えながら見入っていると「それらは昔の《シビラ》の復刻なんですよ」と。

・・・納得(しかし、そうであれば、もっと優先的に復刻しても良いデザインがありそうにも思えましたが)。

リネンをふんだんに使った、やまぶき色の復刻スカートを購入しました。嗚呼、この硬質な光沢、お色目、そして釦部分にいたるまで、繊細きわまりないお品・・・この時代に、戻っていただけないでしょうか・・・高価でもけっこうです。長く、大切に着用できる、《シビラ》だけの麗しさを切望します。



ライセンス以前の《シビラ》の、深いピーコック・グリーンの美しいコートは、今でも大切に着ています。ローズ色の裏地がいかにもシビラ。ローズピンクの(星の王子様のような形の)パンツも大切にしています。

復刻品は、最初にブティックをオープンした伊勢丹のみの取り扱いとのこと。昔の《シビラ》ファンの皆様、どうぞお急ぎくださいませ! 大満足とは言えない復刻ですが、良き時代の衣服のありように、想いを馳せることができます・・・
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